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レポート 弁護士 足立 悠

昨今、政治の劣化が顕著となる中で、常に一貫した正当な主張を続けているようにも見える日本共産党。日本共産党が今後どのような役割を果たしていくのか、第19回サロンハウリンは、今最も期待を集める日本共産党若手議員である山添拓さんをお迎えして、「新しい時代への野党の役割②」というテーマでお話を伺いました。
 山添さんは京都府出身で、2003年に東京大学に入学するとともに上京し、大学の自治会のかかわりで国立大学の法人化・学費の値上げをストップさせようという活動や、イラク戦争反対の署名を集める中で、民青同盟に参加しました。民青同盟は日本共産党を相談役としていたことから、関わりを持つきっかけとなり、1年生のうちに党員になりました。
 政治家になろうという考えはなく、大学卒業後の進路選択としては、ロースクールに行くか、政党職員になるかを悩みましたが、結局、弁護士になるべく早稲田大学法科大学院に進学しました。
その後、弁護士となり、東京法律事務所に就職。同事務所は労働組合の事件を多数取り扱っていたため、労働事件に多く取り組んだほか、福島原発事故の弁護団事件にも積極的に取り組みました。
 2015年の夏、国会前は安保法制に反対する人々で埋め尽くされていました。その頃、山添さんは日本共産党から参議院東京選挙区での出馬を打診されました。なりたくてなった弁護士の仕事もあったことから、迷ったものの出馬を決断し、見事当選。2022年には2期目の当選を果たしました。
 島弁護士から、山添さんから見た今の政治状況について問われました。山添さんは、一言で言えば、劣化。なりふりかまわぬ暴走ぶりで、どう体裁を整えるかも気にしなくなって、理屈はどうでもいい、強引に進めることをいとわなくなり、説明するつもりもない、という回答でした。山添さんから見ると、安倍政権が最悪だと思っていたが、あのときは例えば集団的自衛権の閣議決定については国会での審議が行われた、しかし、現在の岸田政権は説明できなければしないというスタンスで、より酷くなったと、国会議員として間近で見ている立場から、感想を述べられていました。
 このような政治状況の中で、日本共産党には何ができるか?また党名を変える考えはないのか?という核心的な質問が島弁護士からなされました。
山添さんからは、まず、前者について、綱領で掲げている①アメリカの言いなりはただすべき、②大企業・財界中心は改めるべき、という多くの人が賛同するだろう課題に踏み込もうとしているのは、日本共産党くらいというお話がありました。その理由の一つとして、企業献金を受けていないので、他の党が踏み込みにくい部分にも遠慮せず踏み込めるし、問題のある企業の名前も躊躇なく出せるとのことでした。
後者については、確かに、ソ連・中国のイメージが付きまとい、一体化しているかのような理屈がふりまかれているが、今は関係性はないそうです。共産主義とは何か、そこに至る道筋はどういうものなのかという理屈が不足しているのではないかと懸念されていました。ロシアや中国は、共産主義とは言えない、日本共産党が考えている共産主義・社会主義は、資本主義のなかで、社会が十分に成熟し、その後に成立するシステムということでした。民主主義の経験がないまま、社会主義国家に進もうとしたのが、中国やロシアであり、それでは社会主義には到達できず、単なる独裁国家になったのではないか、とのことでした。つまり、日本共産党としては、資本主義を全否定するということではないということに驚きました。党名については、一貫して掲げていることがぶれてしまうので、山添さんは変えない方がよいという立場でした。
経済成長については、今後も目指すべきとの発言も意外でした。色々な社会的・技術的発展があるなかで、よりよく生活できる利益が還元されれば、成長につながるはずで、社会全体が底上げされるべきであるのに反し、一握りの人だけが利益を得ていることが問題ということが理由でした。また、今の日本社会で成長が容易ではないという現実はあるけれど、日本社会・経済として、既に成長できない状態かというとそうではなく、支える政治側の姿勢の問題で、その状態が作られてしまっている、公共を壊しに壊しているという見解でした。成長の原資はあるが、成長の果実を独占する人たちがいる、一部の人がため込んでいる。例えば、ジェンダー平等というのは、尊厳の問題であるとともに、成長につながりうるというのがヨーロッパの共通認識で、気候危機の問題も、例えば原発の増設・原発で置き換えていくのは、関連企業にとっては成長かも知れないが、本当はもっと分散した中小・地方への転換がなされるべきということでした。
第一部の最後に、島弁護士から政治家山添拓の展望・野望を問われたところ、山添さんは、「政権入り!」と即答されました。連立政権であれば、野党共闘で本気になればできるのではないかとのこと。国政では一度も政権入りしていないものの、地方では首長選挙等で与党側になっていることもあることから、大いに希望はあると話されていました。島弁護士からは、「選挙制度改革特命政権をやってほしい!」との力強い要望があり、山添さんも、その道もあると思うと答えられました。
第二部では、多岐にわたる話題が交わされました。なかでも、2022年、山添さん2期目の選挙の話が興味深かったです。日本共産党の支持層が高齢化するなかで、昨年の選挙ではれいわ新撰組がやっているように、山添さんの選対も街頭で選挙ボランティアを募集しました。そうすると、なんと700人 ものボランティアが集まったというのです。最近は、学生自治会や労働組合がなく、そういうものに接する機会がないなか、選挙は分かりやすいからやりやすいのだろうと思ったそうです。立場がはっきりしているから、他のことも一緒にやろうとなるのだろうと。山添さんは、選挙はお祭り、みんなでやると楽しいものだと話されていました。やらされていると楽しくないけれど、選挙期間は世論が動くから楽しいそうです。
未来を語る山添さんはキラキラしていて、ますます目が離せない人、期待したい人だと感じました。