コラム一覧

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馬毛島基地建設に向けた海上ボーリング調査差止事件と現地調査のご報告
2021/03/24
動物共生権
2019/07/18
福島会津まちづくり視察へ
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2018年11月の事務所旅行in 奄美大島
2019/05/16
憲法記念日にあたり東京YWCAの会報に寄稿させていただきました。今こそとことん議論せよ、憲法!
2018/11/09
広島 ピース・ワンコジャパンへ
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豊島・直島 視察
2018/01/31
~原発メー カー訴訟 最高裁へ~『脱原発東電株主運動ニュース』に掲載されました
2017/11/16
長崎 視察旅行②
2017/11/16
長崎 視察旅行①
2017/04/07
原発メーカー訴訟・控訴審に向けて
2017/03/24
北海道新聞2017年3月18日
2017/03/15
北海道新聞 2017年3月5日
2017/03/03
原子炉の欠陥
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風力発電の促進に向けて
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「みどりの遺言」プロジェクトはじまる
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長野県大町市訪問
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事務所研修 沖縄へ!
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ノー・ニュークス通信  2016年3月30日
2016/02/09
購買運動
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原発メーカー訴訟
サロン・ハウリン第22回レポート

2024/02/06

アーカイブ(アーライツ法律事務所チャンネル)はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=VVvPm1vSl2w&t=1248s

レポート 弁護士 寺田伸子

サロン・ハウリン22回目のゲストは、弁護士の河合弘之さん。島さんと、アーライツ法律事務所は、河合さん(と、海渡雄一弁護士)が共同代表を務める脱原発弁護団全国連絡会(以下、「弁護団連絡会」)でたいへんお世話になっています。これ、すごい組織なんですよ。以前は、同じように脱原発を掲げていても、弁護士たちがひとつながりになる組織はなかったのです。
「3.11より前から、全国各地で、”豪族“(笑)が戦っては、負け続けていた」。「3.11で、俺も、人生めちゃくちゃになるかな、と本当の恐怖を味わった。よし、残りの人生で原発を止めよう、と決めた」。敵は電事連で団結している、ならばこっちも連携しよう! と、各地の弁護団に手紙を書いたのが河合さん。かくして、脱原発に関する情報、資料、訴訟の書面、証拠などを共有し、重要なテーマについては研究会を立ち上げ、さまざまな脱原発訴訟を一緒に闘う組織ができあがったのです。会議は河合さんの自宅の広い一室で開かれることも多いのですが、コロナ禍以降、オンラインでも活動しています。「若手で優秀な弁護士が志願して入ってくる。展望は明るいよ」。

「いや~でもね」と身を乗り出す、島さん。以前、原発メーカーを被告とする訴訟の弁護団を立ち上げようとして、河合さんや海渡さんも参加する浜岡原発訴訟の弁護団会議に乗り込んで意見を仰いだら、「ま、1回の期日で終わるね」、「無駄なことはやめた方がいい」と、けんもほろろだったと苦笑い。「まあ、弁護士になりたての島君だったからね。でも、『待てよ、裁判では負けても、確かに原発メーカーに責任はある』と考え直して、電話したんだよな」。河合さん、弁護士を見極めるには事務所を覗くのが一番、と、弊所を来訪、晴れて「一緒にやろうよ」と言ってくださったのだ。
 そう、原発訴訟とひと口に言っても、被告はいろいろ。争い方も、差止めを求める場合もあれば、損害賠償請求、株主代表訴訟、刑事事件もある。請求の原因も、甲状腺がん、汚染水、東電など会社役員の責任、など多岐にわたる。河合さんは「すべての裁判は、日本にある原発をなくすことに向かっている。お金を1億円取れたら『あーよかった』じゃないし、福島の賠償が完全に支払われたとしても、それでみんなが安全で幸せというわけじゃない」。実は、河合さんには、「差止め系の弁護士は頭を使う、損害賠償系は粘る」という弁護団の印象があったそうで、これらを合体させて始めたのが、昨年秋に提訴した、汚染水の海洋放出差止訴訟だ。
「負け続けるなかで、どうやってモチベーションを維持し続けるのか?」と島さんが尋ねると、「訴訟は原発反対運動のひとつ。裁判を核として、世論を動かせる。なぜかというと、裁判は、一度起こしたら、途中でやめられない。ひと月に1回程度の期日があって、そのたびに集会やデモなどの活動がある。控訴も上訴もあって、やらなきゃいけないことがいっぱいある。だから活動のヘソとして裁判は有効。でも、裁判だけでもダメ。原子力ムラには爬虫類的な強靭さがある」。

 で、ここからが今日一番、いい話。「原発は、裁判でも政治でも止まらないけど、経済で止まる、と俺は見ている。自然エネルギーは、左翼や人権主義者じゃなくて、世界では金持ちが推進している。日本だけが取り残されて、毎年30兆円、石油に使っているのは日本だけ。だから、脱原発の日は必ずくる。それまで持ちこたえなきゃならない。今は戦っているから、再稼働が停まっている。日々、成果は上げてるんだよ」。
 具体的には、地熱も有望だし、太陽光ならソーラーシェアリングに注目している河合さんだ。近々、都内に自前のビルを建てて、屋上ではソーラーシェアリングで大根を作る予定とか!?
 島さんが「ブルジョワ弁護士ですからね」とニヤリとすると、河合さん、「今も繁盛してる。お客さんはいっぱい来ますよ。経済紛争では、アメリカンフットボールの監督みたいで、そういうの好きなんだよ。お金儲けるの、大好き。でも、一番やりたいことは美しい地球を残したい。そのためには環境問題を解決しなければならないし、一番深刻な環境問題は原発だ、と」。
 原発訴訟で、いま一番、有効なのは「樋口理論」とも。関西電力大飯原発の運転停止命令を出した、当時の樋口英明福井地裁裁判長の判決は実に明快だった。原発事故の被害は、戦争以外には比べるものがないほど甚大であるから、原発には極めて高度の安全性、つまり日本においては高度の耐震性が求められるが、原発の耐震性は極めて低い。だから原発の運転は許されない。「裁判官は忙しいし、文系だし、3年で転勤になる。だから科学的なデータや、裁判官がわからないような難しい理論では、勝てない。とにかくわかりやすく」。いやまったく。小学生でもわかる理屈が、結局強いのです。

 第2部では、原子力ムラの黒い勢力や、脱原発をやりながら稼ぐ弁護士の秘訣とは…などさらに興味深い話題も。今回は、第2部の一部もアーカイブで一見られるようですので、ぜひ、ご覧になって、明るい気持ちをシェアしてください。