コラム一覧

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原発メーカー訴訟・控訴審に向けて
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サロン・ハウリン第12回レポート

2023/02/27

アーカイブ(アーライツ法律事務所チャンネル)はこちら
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レポート 弁護士 寺田伸子



 サロン・ハウリン第12回。今日はちょいと、このサロンの風景を眺めてみましょう。カウンターは厨房とバーを中心にコの字になっていて、8席。ステージ、といっても2つの椅子とマイクが設置されているだけですが、これは銀座通りに面した窓のあたりにありまして、ステージ前には4人ほど座れるテーブル席があります。午後4時ころからアーライツの事務局が配信の準備に忙しく、お店(ハウリン)は通常営業どおり注文に応え、シェフのさとしさんは厨房に。私はカウンターの端に陣取ってみました。隣では、生ハムをアテに、シャンパンのグラスを傾ける女性。いいわね。見渡すと、サロン・ハウリン”常連“の大学生とそのお父さん、弁護士、社会運動に従事する人、クリエイター、と、知っている顔もちらほら。私も生ビールをお願いしたところで、そろそろ開演でございます。

今日のゲストは田中秀征さん。元新党さきがけ代表代行、細川内閣で首相特別補佐、橋本内閣で経企庁長官を務められました。サロン・ハウリン第1回に続く2度目のご登壇。まず島弁護士からは、「原発の40年ルールはなし崩し、ウクライナ侵攻にかこつけて防衛費倍増、もうルールなんか無視していいと言わんばかりの政治には絶望しかない。でも、秀征さんにはいつも、悲観しないためのヒントをいただくので、お話を聴きたい」と紹介がありました。うむ、とうなずく秀征さん。いつもだったら、ここから会話がスタートしますが、今日は違います。秀征さん、島さんの言葉に応えるとともに、ご自身が深く考え続けている問題について、しばらくひとりで語ります。

政治が、ここまで“劣化”しているのはなぜか。昔では考えられないような不祥事で大臣や秘書官が辞めていく。劣化の発端であり元凶でもあるのは、衆議院の選挙制度が、現行の小選挙区比例代表並立制に変わった、1994年の選挙制度改革である、と秀征さんは批判します。当時、細川首相の首相特別補佐だった秀征さんが関与した当初の政府案では、比例代表制は全国区で250議席、小選挙区250議席。これなら、例えば脱原発や環境問題に特化した少数政党や有力で見識のある政治家が連立に加わり、省庁を監視することができる。そう秀征さんらは信じたが、最後の最後で自民党案に押し切られ、比例代表は全国を11のブロックに分割することとなり、その上、比例代表制200議席、小選挙区が300議席となってしまった。これでは、農業、経済、建設、郵政、医師会、遺族会などに及ぶ強力な支援団体のもとで、自民党が圧倒的に有利になる。政策調整は官僚に丸投げされ、首相官邸がますます強くなる…。「劣化を防げず、進めてきたことに、自分も深くコミットしたと反省している。」「今年、私は83歳になる。来年はもう言えないかもしれないから、今年はあらゆる機会をとらえて、意見を述べたい。この選挙制度が続く限り、政治の劣化は止まらない」。
覚悟のひとり語りが締めくくられ、ディスカッションは実践編。島弁護士とは、理想の選挙制度はどういうものなのか、しかも現行制度で当選した政治家が制度自体を変えるにはどんな方策があるのかについて、話し合われました。ここまで、ぜひ、アーカイブをご覧ください。




配信終了後の第二部でも、今日の秀征さんの静かなる迫力に刺激されてか、いつも以上に活発な発言が飛び交いました。「適正な政官関係というものがありうるのか?」「官邸による政策会議では何が重要か」「政治に劣らず労組の存在意義が見えない」「地域の問題を解決するための戦略的アドバイスを」など、話題は多岐にわたり、秀征さんが「そんな難しい話は手に負えんよ」なんて苦笑する一幕もあり。そんな場面でも、お店にいる全員が考え込み、肩書や活動分野は違えども、それぞれ知識や体験をもとに意見が交わされ、なかなか口をはさめない私も、常になくグラスが空になるのも気づかぬ集中ぶりで高揚してしまいまして…。今夜もいよいよ熱かった、サロン・ハウリン。次回、ご期待ください。