コラム一覧

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サロン・ハウリン第9回レポート

2022/12/01

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弁護士 吉田理人


サロンハウリン第9回目のゲストは精神科医の香山リカさんです。

トークは香山さんの経歴から話が始まります。
中学校卒業までを北海道で過ごし、高校から東京に出てきて、浪人後医学部に進学したという経歴とともに、学生時代に出版社で雑誌の編集にかかわるようになり、アングラバンドの手伝いをしていたという話に。
そこで、香山さんと島さんとの間で、当時のアングラバンドの名前とともに過激なエピソードが飛び交います。当時のライブハウスシーンを知らない人には、「??」な驚きの会話が続きます。島さんとは意気投合して、とても楽しそうな雰囲気です。香山さん曰く、振り返ってみると、学生時代からメジャーなものや権力に対して反抗するような場所に身を置いていて、それが現在に通じているとのこと。バンドの話は盛り上がりいつまでも続きそうな感じでしたが、本題とはそれるため、軌道修正。

医学部卒業後は、精神科医の道に進み、その後、立教大学の専任教授も務め、今年の4月からは北海道むかわ町の診療所で総合医として勤務されています。なぜ、むかわ町の診療所に勤めるようになったのかについて話が進みます。
以前から、東京は医師もいっぱいいて、自分がいなくてもいいのではないかということを感じていて、直接人に役立つ、必要としてくれる人に直接関われる場にいたいという思いを持っていたとのこと。その思いが強くなったのが、アフガニスタンで中村哲医師が亡くなったニュースを聞いた時でした。中村さんと直接の面識はありませんでしたが、中村医師という素晴らしい方が非業の死を遂げてしまったのに、自分はこのままでいいのだろうかと思い、海外の貧困地や紛争地に行くことを考え計画。ただ、コロナの流行があり、海外に行く計画は難しくなります。そこで、医療を必要とする人は、海外に限らず国内にもいると思いを新たに、国内の僻地医療の現場で働くことを決意。北海道のむかわ町の診療所での勤務が決まったとのことです。
むかわ町の診療所では、総合医として、診療所に来る患者さんの診療にあたる毎日。診療所には、いろいろな症状の患者がくるため、医師として診療科の枠を超えた全般的な対応力が必要となり、そのためのトレーニングも4年ほど積んできているとのこと。診療所が山奥にあり、一番近い都市部の総合病院でも70キロ離れているため、救急患者の対応などには難しい判断が必要になるとのことでした。
ただ、現在勤める診療所の良い点として、病院内に役場の保健福祉課が併設されていることから、医療と福祉、介護がシームレスにつながっている点を挙げます。生活に困っている人がいれば福祉課へ案内し、介護が必要な患者にはすぐケアマネージャーと相談することができ、患者にとっては、総合的な支援を受けられる恵まれた環境になっている。東京のような大都市では、それぞれの分野間で密なつながりをもつことが難しく、そのような総合的、全人的な支援ができるのは、人口規模が少ない僻地だからこそということでした。

むかわ町の人口は、2200人程度で、今の診療所で勤務した経験から、顔の見える総合的支援ができるのは、2200~2300人程度が限度とおっしゃっていました。
2000人程度の規模であれば、見捨てられることもなく、孤独死の心配もないので、不安な人はみんなくればいいと、むかわ町の医療、福祉の充実をアピール?されていました。
ただ、人口減少が進む中で、どこまで僻地の医療現場にお金をかけるかという問題はあり、数千人の人口のために何億も費用をかけて診療所を続けるのかという批判もあるだろうとのこと。僻地・過疎地を切り捨てるのか、過疎地における医療等の公共サービスをどの程度まで維持するかというのは、税金や公共財の分配という難しい政治的判断だと改めて感じました。
むかわ町の名物はマツタケと化石が名物で、現在博物館が改修中のため、少なくとも博物館の改修が終わる頃まではむかわ町の診療所勤務を続けるつもりという話で、第1部は終わりました。

第2部では、オフレコの興味深い話がつづきます。
香山さんといえば、ネトウヨとの闘いという印象も強いですが、香山さんからは、SNS等で遊んでいるだけという驚きの発言が。自分が相手をすることによって、ネトウヨの矛先が、社会的弱者である当事者に向かなければいいと思っているという隠された意図も話してくれました。
その後、話題は差別や政治の話へ、NHKの番組に出演した際の政治との緊迫した関わりや、最近話題の信仰宗教とマインドコントロール、精神医療との関係についてなど様々な角度から、社会問題を語ります。中でも、政治番組のゲストとしてご自身が出演した際、放送前にもかかわらず、キャスティングを見た首相就任直前の某氏がツイッターで香山さんのことを「論外」と評したことがきっかけでメディアへの出演機会が大きく減っていったというエピソードは、言論の自由の脆弱性を強く実感し、衝撃的でした。
トークは、医療、過疎、差別、政治、宗教、メディアなど様々な分野の話題に及び、時間がいくらあっても話は尽きません。様々な社会問題に広い視野から発言を続けている香山さんの話をもっと聞きたかったのですが、残念ながら終わりの時間を迎えました。