2024/03/18
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レポート 弁護士 菅野典浩
サロンハウリン第24回は、国会議員の落合貴之さんをお招きしました。
落合さんは、世田谷生まれ世田谷育ちの立憲民主党所属の衆議院議員です。毎日のように報道されている自民党の政治資金パーティーの裏金問題など政治とカネの問題を含めて、国会議員の生の声に迫ります。
第1部では、落合さんが、政治家を目指すきっかけから話をお聞きしました。
落合さんは、小学校の頃から政治家になりたいと思い、授業中の机の下で伝記を読んだりしていたそうです。また、ベルリンの壁が崩壊するなど冷戦体制が終わり、バブル経済がはじけた時代でもあった影響からか、居ても立っても居られず田中秀征さんに手紙を出したそうです。田中秀征さんからは、今は政治のことよりもきちんと勉強しなさいとの返事が届き、確かにその通りだと納得した落合さんは政治家を目指すためにも勉強しようと思い、大学で経済学を学びました。
大学卒業後、三井住友銀行に就職しましたが、わずか2年半後には自民党の議員公募に応募するために会社を辞め、その後、江田憲司議員の秘書などを務め、2009年、みんなの党の結党に関わりました。
そして、アベノミクス解散となった2014年に維新の党から立候補して初当選し、民進党や無所属での活動を経て、枝野幸男さんの強い要請を受け、立憲民主党の結党に加わりました。
落合さんの政治姿勢は経済の視点から政治を見るというもので、株高、大企業の高業績でも国民が好景気を感じられない昨今の状況について、株高などは政府が大企業の要望に沿った経済政策が招いた結果にすぎず、国民全体を豊かにするためにも経済政策と政治とカネを切り離す必要があると熱く語っていました。
サロンの中盤では、島弁護士から落合さんに、今の立憲民主党は国民に期待されていないのはないかという厳しい質問が投げかけられました。落合さんは、立憲民主党の支持が上がらないのは、党の顔が変わらず、新しい人材が育っていないことに起因しているのではないかと分析していました。これに対し、島弁護士からは、立憲民主党は政策がぶれる、はっきりしないという印象を持たれているのではないかという問いがあり、落合さんは、立憲民主党が過去に政権をとった故に周囲に変な配慮をすることで政策が玉虫色になっているという反省点を上げました。
さらに、政治にはお金が掛かるという問題についても、落合さんはお金をかけて人手を増やして票を集める方が選挙に強いことは事実であるが、自分はお金を掛けずにできているので必ずしも政治にお金がかかるという認識は正しくはないと述べていました。
さらに、選挙制度にも話が移り、落合さん曰く、中選挙区制は今よりももっと費用が掛かっていたので、必ずしも小選挙区制よりいいとは言えないが、政治家はどうしても自分が当選しやすい選挙制度を作るため、国民の声を反映させるにはどのような選挙制度が良いのか自分の中でも答えは出ていないと、悩ましい表情を浮かべながら語っていました。
サロン終盤では、島弁護士から、国民の「豊かさ」とは経済を活性化させることなのか、人口減を前提に社会を変えていくことなのかという問いに対し、落合さんは、非正規雇用が多いなど、未だに物質的な分配が十分になされていないことが政治家には見えておらず、経済政策として、経済成長よりも経済循環を良くすることが重要であると答えました。
最後に、今後の活動について、落合さんは、今の政治家に任せていてはよくならないし、国民から評価を受けられない政党しかないというのが悲しい現状であり、まずは自分たちの党を良くすることで、他の党も変えていくことしかなく、志を同じくする人と力を合わせていきたいという力強い言葉で第1部を締めくくりました。
第2部は、イスラエルのガザ侵攻の問題から始まりました。
島弁護士からは、イスラエルでは虐殺が行われて、日々、人の命が失われていく現実に対して誰も本気で止めようとしない状況には心の底からうんざりするが、日本は何をすべきなのかとの問いに対し、落合さんは、政治の政界でもユダヤ関係はアンチャッタブルな問題であり、アメリカの政治を支えているのがユダヤである以上、日本が動くのは難しく、中国の動きの影響が大きくなるのではないかとのことでした。
また、島弁護士から、世の中を良くしたいと思って政治家になったのに、忸怩たる思いを味わっているのではないかという問いに対し、落合さんは、損得とかを考えずにとにかく頑張るしかない、悪い政治家が統治する国は発展しないが、残念なことに日本の政治家のモラルは下がってきているとの現状分析がありました。
参加者からは、国民が自民党はよくないと思っても他に選択肢がないことが問題であるとの指摘や、立憲民主党を魅力的にするには、世代交代、政策立案能力を高めることが必要ではないかといった指摘がなされました。
落合さんは、官僚がデータを握っているので政権を有していないと有効な政策を打ち出しにくい環境にあるのが現実であり、野党が有効な政策立案をするためにも健全な政権交代が必要であり、また、素人だけどマニアな人や個人で協力してくれる人もいるので、現状は心ある人とつながることで打開していくしかないと答えました。
島弁護士も、どうやって国民に伝えていくのかが重要であり、新しいアイデアを持っている若い専門家を雇うなどの方策が必要ではないかと指摘し、立憲民主党も時代に応じて変わっていくべきことに期待を述べました。
最後に、落合さんは、若い人たちが政治に期待していない、政治家は信頼できないと言っているのは、きちんと社会を見ているからこその発言であり、むしろ今の若い人達には期待できると思っており、個人個人の幸せが満たされた社会がよい社会であって、良い社会にするために個人があるわけではないから、より良い世の中を作るために、善意ある国民と一緒に前進していきたいとの抱負を述べ、拍手とともに終わりました。
国民の多くが今の国会議員に対して失望している中、生の言葉をぶつけ、熱く語る落合さんの姿を見ると、日本の政治家も捨てたものではなく、世の中を変えようとする志に期待せざるを得ないと感じさせるサロンハウリンでした。