2018/03/01
1月6日から1月8日まで、香川県の豊島と直島を視察してきました。
まずは豊島を訪問。
豊島は、産業廃棄物の不法投棄問題で注目を集め、昨年、廃棄物の撤去が完了しましたが、最近、撤去しきれていなかった産廃の汚泥が発見されるという出来事のあった島です。
今回は、太陽光発電施設の建設計画の反対運動があるということで、住民の方と意見交換をすることを主な目的にうかがいました。
はじめに産業廃棄物の不法投棄があった現場へ。
現場から撤去した廃棄物及び汚泥は焼く91万トンに上るそうです。
現在でも重機で作業をしており、汚水の処理施設も稼働していました。
まだまだ完全解決には至っていないですが、大量の廃棄物が投棄されていた状況から、住民を中心とした多くの人々の努力によって、現在に至っていることを思うと、強い気持ちで運動を続けていくことの大切さに改めて気付かされます。
続いて太陽光発電施設の建設予定地を視察しました。
建設予定地にも、廃棄物が不法投棄されていることが発覚し、警察によってその捜査がなされた直後で、土地が掘り起こされた後が残っていました。
建設予定地正面に瀬戸内海の島々を望むことができ、太陽光発電施設が建設されることによって、美しい景観が害される等の理由で島民の95%あまりが反対しているということです。
夜には、反対運動をしている住民の方と直接話をして意見交換をしました。
島民の大部分が反対しているのに、法的に建設を止めることは容易ではないという現状があります。
島という限定された地域で、その大部分が反対していても、太陽光発電施設の建設が強行されようとしている現状に対する住民たちの強い不満を感じました。
島民たちが望む島のあり方を実現するためには、問題が起こってからの事後的な対応では困難な部分も多く、行政等が事前に適切な規制をしておくことが大切だと思います。
2日目は、まず豊島の島内を観光してまわりました。
豊島は、隣の直島とともに、現在、アートの島として非常に多くの観光客が訪れています。
豊島美術館を訪れました。
豊島の地形に溶け込んだつくりとなっており、静かで充実した時間をすごせました。
この空間の素晴らしさはその場にいないとわからないので、言葉にするのは難しいです。
その後、直島へ移動。
直島は、アートの島として、全国的にも有名な島となっていますね。
直島のシンボルともいえるかぼちゃです。
豊島以上に、観光客にあふれており、島全体に活気を感じました。
大きな美術館もあれば、街中にも美術作品が点在しています。まさにアートの島と言った感じです。
いま日本では、島にかぎらず、地方の都市で、どのように地域経済を発展させるか、どのように村おこし、町おこしをするかは非常に大きな問題となっています。
アートを中心とした直島や豊島の振興策は非常に成功しているように見えます。
今回、アートによる地域経済の振興という面については、関係者の話を聞いたりはできませんでしたが、次回訪れるときには、どのようにしてアートの島となったのか、今後どのような島作りを目指していくのかなど、役場の担当者などにも是非話を聞いてみたいと思いました。
太陽光発電施設の建設問題もそうですが、どのような目標をもってまちづくりを行っていくのかということについて、役場や住民の間で、共通の認識が持てれば、問題を未然に防ぐことができると思います。
問題を未然に防ぐためにも、どのような制度や仕組み、取組みが必要なのか、その具体的なモデルを作ることができれば、よりよいまちづくりができるのだろうと思います。
簡単ではありませんが、そのような仕組みづくりの手伝いができるといいなと考えさせられる旅になりました。
(弁護士 吉田 理人)